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病気と向き合ってきた経験を伝えたい|仕事と治療を両立しながら奮闘する日々

今回は、福岡センターで勤務する白石 喬さんにインタビューを行いました。
現在、金融サービス事業本部 第二部の課長である白石さんは、保険業務のプロジェクトの責任者として活躍しています。自身の抱えている病気のことや発症当時の様子、仕事と治療の両立など幅広く伺いました。

【プロフィール】
■白石 喬|課長
福岡センター/金融サービス事業本部 第二部 第4課/2004年入社
2004年に北九州センターの前身であるサービスウェア九州に入社。2012年に福岡センターへ異動し、通信販売やテクニカルサポートなど幅広い業務を担当。現在は、金融サービス事業本部にて課長を務める。

保険業務のプロジェクト全体を管理する責任者

Q. 入社から現在までの経緯を教えてください。
白石さん:
2004年にSCSKサービスウェア北九州センターの前身となる、サービスウェア九州に入社しました。
その後、社名が変わるなどの変遷を歩みながら、11年前に現在の福岡センターに異動し、20年近く在籍しています。
昨年までは福岡第2センターで、金融業務や通信販売の受注、テクニカルサポートなど、さまざまな業種や業態を取り扱っていました。
それが今期に入って当社の組織が大きく変わり、金融領域を専門とする部門に所属し、保険業界のコンタクトセンター領域を担当することになりました。その中でも福岡の生命保険に関するコンタクトセンター業務の責任者をしています。
オペレーターのマネジメントは、スーパーバイザーやマネージャーが行うため、私は労務管理全般からクライアントとの交渉ごとなど後方支援に近い形で、プロジェクトの全体を管理しています。
今メインで見ている保険業務に関しては、担当になって3年目ぐらいですね。

自分の病気について、社員にもクライアントにもオープンにしている

Q.ご自身の病気について聞かせてください。
白石さん:
私は5年前に肺腺がんという肺がんの一種になり、現在も治療中です。ちなみに、自分の病気について社員にもクライアントにもオープンにしています。
がんにはステージ4まで進行段階があるのですが、見つかった時点で既にステージ3になっていて、5年生存率が当時20%を切っている状況でした。
左肺にがんができていて心臓にくっついていたので、手術で取り除くことができませんでした。そのため、放射線治療や抗がん剤治療などさまざまな化学治療法を行いました。
肺腺がんの中にもいろいろなパターンがあって、何が元になってがんになったのかを調べるために遺伝子検査もしたのですが、私の場合はちょっと特殊なALK(アルク)遺伝子を持ったものでした。その遺伝子を持ったがんにしか効かない薬を使って治療を行っています。

今の時代、2人に1人ががんになると言われています。
最初に聞いた時は、「がんになった=長生きできない」みたいに思っていましたが、がんと一言で言っても人によっていろいろ違うんです。
俗にがんは1年に1cmぐらいしか成長しないと言われるのですが、私の場合は見つかった時点で既に5cm以上あり、しかも1週間に2cmぐらいのペースで大きくなっていく、かなり進行性の早いものでした。若かろうが年を取っていようが、進行性のがんは早いんです。
一方で、中にはがんが進行しない人もいて、全然大きくならないから切らずにそのまま様子を見るというケースもあります。単に悪さをしていないだけで、もしかしたら誰にでも何かしらあるかもしれませんね。

 

Q. 病気に気づいたきっかけはありましたか。
白石さん:
5年前に血を吐いたことがきっかけでした。
それまでも、ちょっと体がだるいな、しんどいなと感じることはありましたが、年のせいで疲れやすくなってるのかなと思っていたんです。
土曜日の朝に血を吐き、救急の病院に行きました。CTを撮ったところ大きな専門の病院に行ってくださいと言われ、その足で向かいました。改めて検査した結果、「あ、これ、がんですね」って、まるで風邪の診断のようにさらっと言われたんです。
こっちは心の準備もなくいきなり聞かされて、本当にガーンってなりました。だから「がん」っていうのかなと(笑)。どうしようかと悩みましたが、その場では妻に連絡することができませんでした。

とりあえず会社の上長に電話して、「これからすぐに入院して、詳細な検査が必要になるのでしばらく会社に行けなさそうです」という話をしました。
家に戻るため電車に乗りながら、ネットで「肺がん」と検索してみると「男性の死亡率ナンバーワン」「年間7万人が亡くなっている」などというような情報が出てきて、これじゃ生きていけないなって思いました。家に着いて妻に報告し、その晩は二人で大泣きしました。
やはり当時はショックが大きくて、会社のことを考える余裕なんて全くなかったです。翌々日には入院して遺伝子検査を始めたので、会社には迷惑をかけてしまったなと思っています。

 

Q.プロジェクトの立ち上げ時期の話を聞かせてください。
白石さん:
ちょうどその時期に、保険業務のプロジェクトの立ち上げ支援を担当していました。
部下の入江さんと佐藤さんの二人に、東京のクライアント先へ行って研修を受け、プロジェクトの立ち上げをしてもらう話になっていました。その矢先に、がんが見つかって即入院することになったんです。
私がやっている課長業務は、上長や当時の同僚である課長に引き継いでもらったのですが、これから東京に行く二人の面倒を見てあげることができなくなってしまいました。
「しっかりフォローするから、クライアント先で研修を受けて頑張ってきてね!」と言っていたのに、「ごめん。入院しなきゃいけないから、君たちの面倒を見てあげられなくなった」と告げることになりました。彼女たちはボロボロと泣き出してしまい、そんな状況の中で東京へ行ってもらったんです。

その後、治療に専念するため半年ほど入院となり、出社できなくなりました。
会社への復帰自体は半年後ぐらいでしたが、プロジェクトの立ち上げは別の課長にお願いしました。治療がある程度落ち着き、私が引き継いで改めて担当になったのが3年前となります。
部下の二人は恨みごと一つ言わないで頑張ってくれて、それが今の仕事に繋がっているので、本当に感謝しています。

人それぞれ事情を抱えて仕事をしていることを知った

Q. 病気になる前となった後で、変わったと思うことはありましたか。
白石さん:
がんが見つかったのは、その年の1月に子どもが生まれ、10月に家を買って引っ越した翌月でした。
それもあって、初めの頃は、「なんでこのタイミングで自分だけがこんな目に遭うんだろう」って、すごく考えてしまいました。
しかしいざ入院してみると、世の中には病気の人ってたくさんいるんだなと気づきました。
その後、復帰して会社の人たちと話をしていると、「実はがんを経験しているんです」「私はこういう病気を持っています」と、人それぞれ事情を抱えて仕事をしていることを知る機会が増えました。
病気だけではなく、家族の介護や生活苦など、人に言わないだけでみんないろんなことを抱えながら仕事をしているんだと気づき、つらいのは自分だけではないと考えるようになりました。

病気になる前は、その人の背後にある事情を考えず、仕事の能力だけで判断しているところが私にはありました。「この人は仕事ができないから向いてない」みたいな、実力主義者の考え方になってしまっていたんです。
今では、その人の背景を考えたり、こういう部分を伸ばしてあげなきゃと、考え方自体が変わった気がします。
周りの人に少し優しくなったというか、背景を鑑みて接することができるようになって、一人ひとりの人間性や仕事観を含めて大切にしなければと思うようになりました。

 

Q. 大病を経てなお、仕事を続けられる理由を聞かせてください。
白石さん:
正直な話、何度か会社を辞めようと思ったこともあります。
いつ自分の人生が終わるかわからないし、残りの人生を考えた時に1日の1/3を仕事に割いていいのだろうか、もっと家族といる時間を今のうちに作ったほうがいいんじゃないだろうかと、いろんなことを考えました。
しかし治療をするにも、子どもの学費にもお金が必要で、生活していくためには仕事が必要です。
家族との時間を増やすために会社を辞めることもできたのですが、結局のところ自分の人生を諦めたことになるんじゃないか?と考えました。
私は人生を諦めるんじゃなくて戦おうと、抗い続けてやろうと思ったんです。怖さもありますが、治療は一生続くので、前向きに戦い続けるために仕事を続けなければいけないなと考えるようになりました。
家族との時間を確保できるよう会社のフォローもあり、働きやすい職場を提供してくれているおかげで続けられていると感じています。当時の上長も理解してくれて、たくさん励ましをいただきました。常に「大丈夫?」と心配してもらって申し訳ないなと思いつつも、本当にありがたかったです。周囲の支援があったからこそ、続けられていると感じています。

一方で、直接の部下ではなかったのですが、がんを患って会社を辞めた方がいました。
それを知った時、私はすごくショックを受けたんです。直接声をかけて「辞めずにこの会社で頑張ったほうがいいよ」と伝えられなかったことが本当に心残りでした。
おそらく同じように事情を抱えて退職を考えている方が、全国の拠点にもいるのではないかと思います。
同じ環境で働く立場として、会社から理解してもらえるのであれば、辞めずに残って続ける選択肢も考えてみてはどうかなと。
SCSKサービスウェアは、その人に配慮した対応を取ってくれる会社なので、自分が病気と向き合ってきた経験則を話せたらいいですね。

さまざまな事情に寄り添いながら、フォローする環境が整っている会社

Q. 今後やってみたいことについて教えてください。
白石さん:
楽しく仕事をしたい、というのが私のモットーです。
いろいろなトラブルが続くこともありますが、それらを改善しつつ、明るく楽しく仕事ができる職場にしたいなと思っています。
いつ自分の命が尽きるかを考えていても仕方がないので、できるうちにできることをしっかりやる、ということを意識する日々です。
たとえ健康な人でも、事故など何が起こるかわかりませんからね。悔いが残らないように仕事もプライベートも大切にしていきたいです。

 

今回は、SCSKサービスウェア福岡センターで働く白石さんにインタビューを行いました。
大病を発症後、会社や周囲の人たちからのサポートを受けながら、在宅勤務を活用し仕事と治療を両立する白石さん。
治療のため一時的に離れていたプロジェクトに再び戻り、全体を管理する責任者として活躍しています。
病気によって辞めた方へ声をかけることができなかった心残りを戒めに、自身の経験を話せたらと語られていたことが印象的でした。
SCSKサービスウェアでは、さまざまな事情を抱える方をフォローする環境が整っています。
病気や家庭のことなどいろいろな悩みを抱えている方も、一人で抱え込まず、話せる範囲で構わないので相談してくださいね。