昨今AIの台頭などにより、目まぐるしく変化する時代の中で、BPO業界も従来の事業のやり方を見直す動きが出てきています。
SCSKサービスウェアでは、2030年のビジネスサービスプラットフォーマーの実現に向け、グローバルでの事業拡大を目指しています。
今回は、そんなグローバルビジネスの拡大をけん引するビジネスサービスグループ グローバル推進室の3名にインタビューを行いました。
インタビュー前編では、BPO市場の現状やグローバル推進室の役割、業務内容についてのお話しを伺いました。
- AIの進化でBPO業界に変化が起こる
- 営業担当者に代わって、翻訳・通訳による業務支援を行う
- 最終的な目標として、海外でのM&Aを目指す
- 海外の案件獲得を目的に、LinkedInアカウントを開設
- グローバルでの事業拡大を目指すSCSKサービスウェア
【プロフィール】
ビジネスサービスグループ グローバル推進室 グローバル推進課
■ 伊東 慧吾|豊洲本社/2023年中途入社
■ 太田 愛里|豊洲本社/2023年中途入社
■ ダニエルス ジョン|豊洲本社/2018年中途入社
AIの進化でBPO業界に変化が起こる
Q.BPO市場の現状とSCSKサービスウェアの動きについて教えてください。
伊東さん:
SCSKサービスウェアでは、中期経営計画においてグローバルでの事業拡大を目指しています。
我々グローバル推進室も、海外市場調査と海外ベンダーへの出資や提供、買収など、ケイパビリティ獲得のために動いています。
2023年4月から当室は本格的に稼働し、海外市場調査から取り掛かりました。
注目すべきところは、世界のアウトソーシング業務がASEAN各国に集約されていることです。
この市場には北米、欧州、中国から資金が流れてきており、その上流の流れを掴むため、当室の室長と課長がフィリピンに絞って活動しています。
特にフィリピンはネイティブ並みに英語ができる人材が多く、時差の関係でアメリカが夜間の時間帯にフィリピンは昼間なので、夜間対応ができることからBPO業界のメッカでした。
ところが、ChatGPTが出てきたことにより、業界にも変化が起こり始めました。
この1、2年でAI化が進み、実際に人間が行っていた業務もどんどん機械に任される流れになっています。
安価な人件費で多くの人材を投入するといった、労働集約型で戦ってきたフィリピンですが、今はそのやり方が見直される分岐点に立っています。
AIに特化した事業を展開するのか、はたまた特定の業界に特化するのかと、生存戦略を図ることが迫られる流れが業界としてあります。
現在のSCSKサービスウェアは、比較的にどの分野もバランスよくビジネス展開を行っています。
しかし、そのままでは他社との差別化が図れず、グローバルで戦っている他の日本企業のみならず、世界にも通用せずに淘汰されてしまうと、我々グローバル推進室は結論を出しました。
それを元に、まず始めはフィリピンに重点を置き、2024年1月から当室の課長が現地に赴いて、さまざまな企業を精査したり、話を進めています。
営業担当者に代わって、翻訳・通訳による業務支援を行う
Q.グローバル推進室の役割について教えてください。
ダニエルスさん:
グローバル推進室は、室長と課長、メンバー4名、他の部署と兼部している3名で構成されています。
全員英語が話せる少数精鋭の部署で、最近メンバーの一人が、フィリピンに出向しました。
当室は、フィリピンを中心とした海外BPO案件の獲得以外に、他部署に向けたさまざまな業務支援を行っています。
当社には外資系のクライアントと複数お取引があるため、外資系企業とお取引のある部署に対し、営業支援、契約支援、運用支援、報告支援の4つを行っています。
営業支援では、提案書や営業資料の翻訳、クライアントとのやり取り、プレゼンテーションを行っています。
契約支援では、契約交渉支援や契約にまつわる翻訳です。
運用支援では、運用の改善、セキュリティ監査、システムやインフラの不具合、それらを入れ替える時の対応をしています。
たとえば、システムの不具合が発生し、急遽クライアントに状況を説明しなければならなくなった時に、我々が間に入って説明します。
報告支援では、QBRやMBRで、プロジェクトの実績や状況に関する発表を行います。
ちなみに、QBRとは四半期ごとに進捗や現在の状況、今後の戦略を確認する会議のことで、MBRは月次報告です。
クライアントが外資系企業の場合、グローバル感覚の会話が求められる場面が出てくるので、当社の営業担当に代わって通訳支援や提案を行っています。ただの通訳というよりも、もう少し踏み込んだ形で支援しています。
たとえば、日本支社を持っているクライアントとは、普段日本語で営業活動を行っていますが、本社に説明しなくてはならない場合に英語が必要になるため、グローバル推進室が支援要請を受けてサポートしています。
実際に問題を起こしたことはないですが、言葉遣いを間違えて逆にトラブルを引き起こしてしまわないように、慎重に通訳・翻訳をしています。
特に報告支援で行う発表会は、今後契約を継続するかどうかを検討する大事な判断材料となるものです。
我々の報告に対してクライアントから指摘が入った時は、緊張が走りますが、すべての業務が何も問題なく滞りなく進められるように努めています。
最終的な目標として、海外でのM&Aを目指す
Q.フィリピンにまつわる業務では、どのようなことを行っていますか?
太田さん:
当社はBPO市場において、日本国内だけではなくフィリピンなどにも拡大して、世界規模に案件を取りに行く動きになっており、最終的な目標として海外でのM&Aを目指しています。
そのためには、どんなBPO企業があるか、実際に現地へ赴いて調査を行うわけですが、それに付随するさまざまな業務も当室の役割です。
たとえば、現地に派遣や出向する社員のために、必要なビザや住居などの手配、申請にまつわるサポートを行っています。
伊東さん:
M&Aを目的とした企業調査と人材交流のため、当社から1名がパートナー企業の出向先で働くことになりました。海外での仕事は今回が初めてとはいえ、外資系のプロジェクトに関わった経験を持つ人材です。
海外駐在に関しては、まず当社が提供する品質や働き方、文化を知っている人材を送り出していきたいと考えています。
海外案件の地盤が固まってニーズが増えれば、今後公募する可能性も出てくると思います。
海外の案件獲得を目的に、LinkedInアカウントを開設
Q. LinkedInの活用についてお聞かせください。
太田さん:
海外での案件獲得を目的に、SCSKサービスウェアのLinkedIn英語版アカウントを開設しました。
このアカウントでは、当社のサービス紹介や全国各地のセンター紹介などを、英語に翻訳して発信しており、サービスウェア+のインタビュー記事も、少し短く要約した形で掲載しています。
フィリピンで活動している上司から、LinkedInを通してアメリカから案件を獲得した企業があると報告があったことから、その事例をロールモデルに活動してみようということになりました。
最近では担当をつけてDMでターゲット企業をリーチする活動をしたり、ターゲット層に響くような投稿内容をどう発信していくかを、チーム内で検討しています。
海外で広く使われているLinkedInですが、日本ではビジネスの場でもそれほど広がっておらず、ユーザーも少ないと聞いたことがあります。
特にSNSでの営業は、アクティブに動いていかないといけないので、思っていた以上に大変です。
ゆくゆくはLinkedInを通して、北米から仕事を獲得し、フィリピンから英語でオペレーションすることを目指しています。
伊東さん:
LinkedInの運用は、2024年1月から始まったばかりなので、まだまだ試行錯誤中です。
この1、2年の間、我々の部署は前例にないことをやっているので、どの業務もかなり難易度が高いと感じています。
さらに1つのことだけに専念するのではなく、さまざまなことを同時にやらなければいけません。
日本国内だけではなく、グローバルな視野も必要となるため、難しさを感じると同時にやりがいもあります。
これからも誰もがやったことがないような領域にチャレンジしていきたいです。
グローバルでの事業拡大を目指すSCSKサービスウェア
今回は、BPO市場の現状やグローバル推進室の役割などについて、お話を伺いました。
グローバル推進室では、フィリピンを中心とした海外案件の獲得と並行して、英語が必要な場面でのさまざまな業務支援を行うなど、幅広く活躍しています。
SCSKサービスウェアでは、グローバルでの事業拡大に向けた取り組みを行っています。
グローバルな仕事がしたい方やBPO市場に興味がある方は、参考にしてみてください。